"決断させられる" ではなく "決断する" ための移住。【島根県匹見】
競争社会、消費社会の東京から物理的にも精神的にも一番遠い場所にいる。
取材した高田さんをひとことで表すと、こんな人です。
高田さんは約20年前、夫と娘2人で広島県から島根県匹見町へ移住。
もともと住んでいたのは、広島市平和記念公園からほど近いマンションでした。
都会ど真ん中から過疎発祥の匹見へ移住。
生活が180度一変してしまう決断をした理由、それは子育てにありました。
私「なぜ匹見に移住を?」
高田さん
「子育てかな。
いくら芯を持って子育てをしても、都会にいたときは他の子が習い事をしている話を聞くと、うちの子だけ行かせないということは果たしてできるのかなって考えてしまうことが多くて。
誰かがしてるからうちの子もって、いつも周りの目を気にしている気がしたんですよね。」
私「わかる気がします。」
高田さん
「自分の話になるんですけど、子どもの時にあまり構ってもらう時間がなくて。
自分で決めて行動しないといけないことが多かったんです。
けど、それってすごく自由で楽しくて。
だから、私自身も子供たちにも、周りに影響されず自分の考えで生きていけるようになってもらいたかった。」
私「旦那さんの反応は?」
高田さん
「いちばん田舎暮らしをしたがっていたらしいの。
夫が転勤族の息子でふるさとがなかったから。
だから、子供たちにはいつでも帰れる場所を作りたくて。そのふるさとを、マンションの一室じゃなくて、大自然に囲まれた場所にもしたかったんです。
普段とは全然違う環境に戻ってくることで、気持ちがリセットできるような。
そんな場所をふるさとって呼ぶんじゃないですかね。 」
取材を終えて…。
「人に流されない、自分で決断できる子になってほしい」。
匹見で暮らす理由にあげた高田さんの一言、それが忘れられませんでした。
私は数年前、故郷の和歌山を離れ、首都圏の学校に進学。
今住んでるのは競争社会と言われる都会です。
高田さんのこの言葉を聞いたとき、常に他人と比較して行動している自分に気づきました。
よく行動力があるね、決断力があるねと人から言われます。
けど、それは他人より長けている自分になりたくて行動していることで、私の決断は、この競争社会に飲み込まれて、生まれたものだったのかもしれないと思いました。
だから、今の自分は決断しているのではなく、ある種決断させられている状態に陥っている。
きっと、そうなっているのは私だけではないはずです。
競争社会のなかで。
「今、自分は他人と比べて生きていないか」
「今の行動は、本当に自分のやりたいことなのか」
考えてみてください。
自分と正面から向き合うヒントを高田さんは教えてくれています。
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